毎回毎回ではあるが今回は特にホッと胸を撫でる想いだ。
再販ということで正直ある程度"楽観視"していたからか…それにしても、こんなにもプラグ作りは大変なものだっただろうか…(苦笑)。
"フラットボディ"の製作にも幾分経験値が上がったはずなのに、決してトラブル続きという訳でもなかったのに、何故だか全く思うように捗らず気持ちが安まらない日々が続き、結局は過去最もリリースの間隔が空いてしまうことになった。
そして追い討ちをかけるように、想定はしていたものの、やはり基準に満たない製品が多数出てしまい予定数を大きく割ってしまった。
結局のところ、再販して多くの人に使ってもらいたいという想いに数が追い付いているのか自分では分からないが兎に角、残ったのはボロボロの身体と精一杯やらせていただいて本当にありがとうという気持ちだけだ。
作業部屋を片付けながら、空になったラックを見るにつけ、寂しさが込み上げる。
ちょっと異様だと自分でも思うのだけど、プラグに目玉を入れたり、リグを組み付けたりしていると、時よりプラグが話しかけてくることがある…嘘のような本当の話?…手にしていただいた方には沢山話しかけていただき(笑)、私の想いを込めた子どもたちをどうか可愛がってやって欲しい。
さて、長い前置きになったが今回この"あとがき"で伝えたかったのは三つ、少しネガティブな内容で申し訳ない。
一つ目は、詳細なリリース時期や購入方法、数、その他販売に関わるご意見やお問合せは、正直に言うと答えに困って作業が止まってしまうのでお控え願いたい。
私自身はただ純粋に目の前の木片と向き合って形造る…それだけだ、そして信頼できるパートナーショップにその全てを託す、販売方法や時期などはパートナーショップにご迷惑をかけてしまうこともあるし私からお答えできる範囲は限られてしまうので、それぞれ個別にお問合せいただければと思います。
ありがたいことに皆さまのお陰で少しずつご要望も増えてきた、洒落てもなく映えない地味なブランドではあるけれど(笑)、出来るだけ真摯にプラグ作りに向き合っていくので、これまで通り温かい目で応援していただけると嬉しい。
二つ目は価格。
私の場合、フラットボディは特に手間が掛かり、更に基準に満たないものも多数出てしまうことも考慮しなければならなくて、また避けようのない資材、パーツの高騰により具体的には¥300ほど値上げをさせていただいた。
値段に関しては、私自身、ハンドメイドプラグが高価でなかなか購入できなくて自分で作って楽しんでいたという経緯があるので感覚としてはユーザーの方に近いと思う、しかし実際に拘って製作すると本当にこの価格でもルアービルディングだけで生活を保てない私を見ていただければよくよく分かってもらえると思う(苦笑)、なかなか本当に楽な職業ではなくて、夢のない話しで申し訳ない…(苦笑)。
いずれにしても価格に関してはネガティブな要因でしかないのは事実だし、私はそれに見合うプラグをリリースできるよう作り手としてひたすら上を目指したいとの想いだ。
最後に今後の見通しを。
再販を終え、既に製品化出来るプラグが三つ控えている状況、"leaf"の売り上げがあるうちに次のプラグのパーツも既に発注済みだ(笑)。
今は本当に恵まれていて沢山の素晴らしいハンドメイドプラグが選べる良い時代、どうにか埋もれてしまわないように…なんて想いは正直全くなくて、こんな性格だから先輩には"もっと自覚を持て!"といつも怒られてしまうのだけど(苦笑)、兎に角自分らしく、もしかしたら世の中のニーズには合わないアナログなプラグかも知れないけれど、これからも精一杯の自己表現が出来ればと。
俯瞰して見れば、私のプラグが日本各地の憧れのショップのショーケースに並んでいるというのは未だに信じ難く、まるで夢を見ている心地だ。
常々言っているが出来るなら、トップウォーターを主に扱う何とも独特で趣きのあるショップの店頭に足を運んでいただき、一癖も二癖もある店主の話に耳を傾け、夢のある釣り談義に花を咲かせて欲しい。
願わくばその時は、私のプラグをその話の肴にして。