ずっと探していたものがある。
憧れている人が揃って乗っていたジョンボートだ。
いつまで経って見つからず、待ち切れなくなった私は同じくらい気になっていたオリーブグリーンのジョンボートを見つけ、遠方まで引き取りに行った。
諦めたら見つかるというのは良くある話で、それから程無くして、近所で、しかもいつかお会いしたいと思っていた釣り師の方から譲ってもいいという連絡が入る。
すぐさま約束を取り付け、舞い上がって引き取りに行ったまでは良かったが、オーナーであるタカさんの人柄に触れ、思い出の詰まったであろうジョンボートを見るにつけ、譲って頂くのが何だか申し訳無い気持ちで一杯になってしまった。
どう断わろうか、どうしようか…そんなことを考えていると
「小屋に吊るしておくより、誰かに乗ってもらった方が船も嬉しいだろうから」と。
そんな優しさに甘え、結局そのまま引き取らせて頂くこととなった。
タカさんの言葉の通り、自分の新たな相棒として現在は少し手を入れ、次の釣行に備えているところ。
今回、そんなタカさんとの釣りに誘ってくれたのはヒロシくん、実はジョンボートの仲介も彼だ。
そこにマッキーさんも加わるものだから、作業部屋の改装はもちろん後回しとなる。
タカさんの希望で、偶然にも自分にとってリベンジのフィールドに。
二艇に分かれ、私はマッキーさんの思い出を辿りながらの釣りとなった。
ここで私がグッドサイズを釣り上げたなら格好も付くのだが、またもリベンジは成らず(笑)。
しかし"lamia"のシンボルをデザインしてくれたマッキーさんが私のバラしてしまった"karmarich"で釣ってくれた、これ以上の喜びはない。
そして一通り思い出を巡ったあと、他のフィールドに移動しようということになった。
片付けを終えると間も無く、横殴りの雨が降る。
午後からはヒロシくんと同船することに。
"Slowtaper"の林さんに教わり取り組んでいるキャスティングの修正はまだまだ時間が掛かりそうな感じ、どうしてもショート気味になることが多い。
それでもどうにかキャストを続けているとファーストバイト、ずっしりと重い‼︎…が、またもや抜けてしまった。
いつもなら少し気落ちするところだが、この日は何故だかそんな気持ちにもならず、純粋に釣りを楽しめた気がする。
その後、長い沈黙の時間を経て、最後の最後、一か八かの大移動、そして絞り込んだエリアでラッシュ。
愛すべき未来のランカーが元気よく何度も反応してくれた、加えて最後にヒロシくんがグッドサイズまでキャッチ、タカさんのミラクルエピソードもあり、笑顔で帰路に就く。
今回、やはり沢山の人に支えられているんだなと改めて思い知る。
根っからの人見知りということもあるが、一度や二度釣りに行っただけで仲間という風には、なかなか思うことが出来ないのは正直な気持ち。
それでも、不器用でも何度も釣りを、思い出を重ね、本当の釣り仲間を見つけることが出来たなら、これほど素敵な事は無いと思う。
タカさんから受け継いだジョンボートで、少しだけマシになったキャスティングで、いつの日か今日の思い出を辿りたい。
出来るならまた、同じ顔ぶれで。