"フラットサイドボディ"…というと、もしかしたら製作が楽なんじゃないかと思われる方がいるかも知れないが、私の場合は大袈裟ではなく同心円のものに比べるとかなりの時間と手間が掛かってしまう。
いやらしい話だが利益率は低いし、他にも作りたいプラグが沢山ある中でリリースのペースも鈍化してしまう、もっと言ってしまえば木加工も精度が問われるしサンディングはひたすらに試練でコーティングにも非常に神経を使う…つまりはあまり製作したくないプラグの筆頭ということだ(笑)。
しかしながら、ありがたいことに今までリリースしてきたプラグのなかでも特に要望が多いのは事実だし、モチベーションとタイミングが噛み合ったときにまたリリース出来ればと思っていたので製作依頼をいただいても頑なにお断りしていたのだが(笑)、今回いよいよ腹を括り製作を決意した次第だ。
"Slowtaper"の代表である林さんからオーダーいただいたのは“Spinner tail leaf”の販売から間も無くの頃だっただろうか、背中に圧を感じながらも長らくお待たせてしまったが(苦笑)、その分スペシャルな別注になっていると思う。
以前、ネットショップで資材を購入する際にあと幾らかで送料無料…ということで何となく買ってみた"アワビシート"が作業部屋の片隅に転がっていた。
“Spinner tail leaf”のプロトに色を付けるのに、たまたまその"アワビシート"が目に入って貼り付けて仕上げてみたのだが、林さんがその雰囲気をとても気に入って愛用してくれてるのを知っていたので、せっかく手間暇掛けるならスペシャルなものを…ということでスペシャルな試練を乗り越えてどうにか仕上げることが出来た(笑)。
そんな訳でこちらのカラーは"Slowtaper"さんだけの別注品となるが、"leaf"は二度製作しているものの“Spinner tail leaf”は一度切りで、しかも製作数も極端に少なかったということもあり、全国のユーザーさんに使って欲しくて別注とは別にレギュラー分をメインで製作している。
今回はレギュラーに先立ってスペシャルのリリースとなるがレギュラーカラーにもかなり気合いが入っているので楽しみにしていただければ嬉しい。
前回から比べても資材全ての価格が高騰しており値上げはどうしても避けられない上に希少なアワビシートの価格、何層ものコーティング数、研磨の手間などを加味して価格もスペシャルになってしまったが、コアなユーザーさんには是非手に取っていただきたい。
カラーに関しては2種類のアワビシートを使っていて、希少な"ニュージーランドアワビ"はインパクトのある柄なので落ち着いたブラウンカラーで目玉周りをボカし、非常に品のある"日本アワビ"は目玉周りを赤くボカして可愛げのある表情に仕上げてみた。
"アワビシート"の貼り方は手探りだったので希少なものを幾つも駄目にしてしまった。
一番の難関は顔周りで“Spinner tail leaf”のリップ形状がボディを挟むようになっている為に、そのクリアランス調整には本当に泣かされた。
クリアランスに余裕があり過ぎるとラインが頻繁に挟まってしまうので"ソリッド〜グリッター"のもので程良いクリアランスになるようにかなりシビアに調整してあるので、そうなると"アワビシート"の厚みでクリアランスが取れずリップがハマらなくなってしまう…。
試行錯誤の末、手間は掛かるが顔まわりは張らずに何度もコーティングとサンディングを繰り返して違和感なくクリアランスも取れるようにスムージングをすることで問題をクリアした。
また、全体のコーティングも厚くなり"アワビシート"の重さもあるので、ヘビーになり過ぎないようにブランク自体も軽めのものを選んでいる。
長くなってしまったが、自分なりのこだわりを詰め込んだスペシャルな別注を楽しんでいただければ嬉しい。
なお、発売時期や販売方法などはお店主導で私の方にお問合せいただいてもお答えすることが出来ないので、どうかご理解いただければ幸いです。